可逆的な避妊法

 ピルの効果のひとつに、排卵を止める作用があります。通常は卵巣が分泌している女性ホルモンを口から摂取することによって、卵巣がホルモンを出し続けなくても血中濃度を保ち余計な労働(=この場合は妊娠希望しない時期の排卵)せずに済む状態になるからです。飲みやめて血中濃度が下がると脳が卵巣に活動命令をし、ふたたび排卵が起こるように戻るため、可逆的な避妊法といわれます。

 薬で排卵や生理を止めてしまうのは体に良くないイメージを持つ人も多いかもしれませんが、こういった作用機序を知れば、本来あるべき機能を低下させるようなことはなく、単にお休みさせて良い状態を保っていることがわかります。

 

 このホルモン摂取を28日サイクルで続けるので、生理不順も改善されるわけです。毎月きちんと生理がきてほしい人は正確に28日周期で生理の曜日が安定しますし、予定も立てやすくなります。出血予定の日に不都合があれば、休薬期間をずらして生理を早めたり遅らせたりすることも、気軽にできます。

 

 生理が必ずしも毎月なくてもいいならラクだな、という人は、体質によって限度はありますが、2~3シート連続で飲んでもいいのです。ご本人のライフサイクルに合わせて、仕事が忙しい時期だけ生理はパスするとか、ほかにも、においやムレが気になる夏の間だけ生理にならないようにすることもできます。

 

 妊娠を希望する時期になれば服用をやめれば元の状態に戻せます。服用中は生理不順や月経困難症の症状を改善しますが、飲みやめるとこちらも元に戻ります。