月経リズムの調整

【学習項目】生理をずらす便利さ/ピルとは/生理を遅らせる方法/生理を早める方法/生理を自由に操る方法

 

生理をずらす便利さ

 月経のリズムを調整、つまり生理の周期をコントロールすることですが、生理を早めたり遅らせたり、好きな時に起こすってどういうことなのでしょうか?

 

 生理は、ピルを使うと、来てほしくない時期は来ないよう先延ばしにできたり、来てほしかったらすぐ来させたり、自由自在に操れます。なので普段から飲んでいると、とても便利です。

 ピルは医療機関で処方してもらうお薬なので、「月経移動」とか「ピル」というキーワードがある婦人科クリニックなら対応してもらえるはずです。保険診療ではありませんが、健康な生理をより快適にすごしたい、という目的で処方をお願いすることはまったく問題ありません。

 ただ、医療機関で病気治療を時間をさいてしてしまうのはよくないので、健康管理については私たちがしっかり学んで、自分でコントロールできるのが理想です。

 自分でコーディネートさえできれば、調整用にお薬をもらうのは、かかりつけの内科、小児科、皮膚科、どこでも、処方せんは書いてもらえます。

■月経での"調整"いろいろ

「月経調整」という表現、ときに「経血コントロール」の意味で用いられることもあります。生理中でも血が出て来ないよう止めておき、トイレで力を抜いて排出するようです。そこでライフェスデザイン研究所では、混同しないよう“リズム”というワードを入れて表現しています。

 月経に関してはいろいろなメソッドがあるので、個々が快適に行えるようたくさんの種類を知っておくといいですね。

周期の調整方法

生理をずらす方法は、3つあります。

  • 生理を早める方法
  • 生理を遅らせる方法
  • 今なら良いという時だけ起こして、普段はお休みさせておく方法

 本来、毎月あるべき生理をなくすことに抵抗を感じる人もいるかもしれません。ところが生理は年に4回、季節ごとにだけ起こさせる「シーズナル」というサイクルも海外には存在します。

 生理を都合にあわせてずらすだけでなく、起こさせない理由の一つに生理がライフサイクル上さほど重要でない時期があること、不要な時期に生理を起こすことがリスクになることが推測されます。

 

月経コントロールを勧める理由

機能面:卵巣を守れる

 生理は生物の繁殖のために必要不可欠ですが、妊娠を希望しない時期の生理は、からだにとって負担になっている場合もあります。不要な時期に負担を回避し、より良い状態で繁殖期を迎えるためにも、日頃のケアとして休ませておくことが、月経コントロールの最大の利点です。

 

精神面:生理に振り回されない

 生理不順や不安な性行為により「もしかしたら妊娠したかも?」と毎日思い続けて過ごすことがなくなります。月に一度なぜかイライラしやすいといったホルモンの増減に振り回されることなく、快適さと安心感を得られます。

 

 

QOL向上:生活の質があがる

 結婚式やスポーツの試合など大切な人生のイベントが、生理によって台無しになるのを避けられるだけでなく、良いコンディションのところへ調整していくことでより万全の体調で臨めることができます。

 生理休暇による損失をへらしたり、経済効果も期待できます。

 

 

生理によるリスク

 

1:卵巣を傷つける

卵巣から卵子が飛び出すことを排卵…というのはよく知られていますが、卵巣を傷つけて出てくることはあまり知られていません。排卵痛や排卵出血などのトラブルはここで起きるんですね。

傷をつける回数が多いと「卵巣がん」の発症率が高まります。

本来、妊娠中・授乳中は排卵がないので、昔のように若いうちにたくさん出産していれば、何年も排卵は無くて済むので卵巣は守られてきましたが、現代女性は、出産するまで排卵を繰り返しずぎて、妊娠したい時期には疲れた卵巣になっていることもあります。

 

2:収縮痛がおきる

赤ちゃんのベッドといわれる、受精卵の着床に必要な子宮内膜。妊娠希望でない時期は子宮から剥がれて排出されますが、子宮が収縮するときの痛みや、プロスタグランジンという痛みの元の産生が促進されます。

 

3:内膜細胞がさまよう

その子宮内膜が、それでも綺麗に排出されればよいですが、まれに子宮に内膜細胞が残ってしまったり卵管を逆流して腹腔内や大腸の方に飛んでしまうと、細胞は増殖して子宮内膜症になったり、悪化すると子宮体がんや大腸がんを引き起こすこともあります。

 

可逆的な避妊法

 

 ピルの効果のひとつに、排卵を止める作用があります。通常は卵巣が分泌している女性ホルモンを口から摂取することによって、卵巣がホルモンを出し続けなくても血中濃度を保ち余計な労働(=この場合は妊娠希望しない時期の排卵)せずに済む状態になるからです。飲みやめて血中濃度が下がると脳が卵巣に活動命令をし、ふたたび排卵が起こるように戻るため、可逆的な避妊法といわれます。

 薬で排卵や生理を止めてしまうのは体に良くないイメージを持つ人も多いかもしれませんが、こういった作用機序を知れば、本来あるべき機能を低下させるようなことはなく、単にお休みさせて良い状態を保っていることがわかります。

 

 このホルモン摂取を28日サイクルで続けるので、生理不順も改善されるわけです。毎月きちんと生理がきてほしい人は正確に28日周期で生理の曜日が安定しますし、予定も立てやすくなります。出血予定の日に不都合があれば、休薬期間をずらして生理を早めたり遅らせたりすることも、気軽にできます。

 

 生理が必ずしも毎月なくてもいいならラクだな、という人は、体質によって限度はありますが、2~3シート連続で飲んでもいいのです。ご本人のライフサイクルに合わせて、仕事が忙しい時期だけ生理はパスするとか、ほかにも、においやムレが気になる夏の間だけ生理にならないようにすることもできます。

 

 妊娠を希望する時期になれば服用をやめれば元の状態に戻せます。服用中は生理不順や月経困難症の症状を改善しますが、飲みやめるとこちらも元に戻ります。