ピルとは

【成分】卵胞ホルモン(エストロゲン)・黄体ホルモン(プロゲスチン)

 

【OC】オーシー/Oral contraceptive=経口避妊薬

  1999年に避妊薬として承認。医療機関を受診して処方せんないと購入できませんが、避妊は病気でないため保険は使えない自由診療のお薬です。

 

【LEP剤】レップざい/Low does Estrogen Progestin

  2008年に月経困難症の治療薬として承認。保険適用のピルといわれ避妊効果がないわけではありませんが、避妊ではなくPMSや生理痛、過多月経などの治療目的でのみ処方されます。

 

海外ではすべてピルとして避妊や月経移動、治療…どのケースでも薬の区別はなく、上記は日本特有の分け方です。保険診療として製剤を分類せざるを得ないからで、「保険薬で避妊はできません」或は「避妊薬で治療はできません」と、法的には分けられてしまいますが、作用や効果としてはどちらも同じです。

 

避妊薬と治療薬の違い

 日本での承認は、避妊薬は避妊のための薬として、治療薬は月経困難症などの病気を治す目的での服用である前提で処方されています。

 保険ピルが登場するまでは、避妊薬を医師の裁量で内膜症治療に応用することはありましたが、現在は使い分けがなされています。月経困難症治療薬でも避妊はできますが、避妊や月経移動の目的だけで処方してもらう場合は、保険ではなく自費(10割負担)になります。逆に避妊薬を治療に使う場合でも、ピルには保険適用の承認がないため自費治療になります。

コラム■どう違うの?保険適用と保険適応

【保険適用】保険が使えるかどうか。病気治療なら保険が適用されます。避妊や月経リズム調整、他にも正常妊娠&出産や美容整形などは病気ではないため保険適用にはなりません。

 

【保険適応】本来は間違った言い方となります。薬にはその用途として認められた病気やケガがあり、それを医薬品の適応といいます。その本来の用途ではない応用法は適応外になります。

 

 たとえば「ルナベルを避妊目的で使用する場合は、適応外となり、保険は適用されない」となります。

元々体内にあるホルモンです

 成分は、2種類の女性ホルモンを混合したもので、そのホルモン量によって高用量・中用量・低用量・超低用量と分類されます。

諸外国の多くの研究データによって最も安全性が確立された最低限のホルモン量に抑えられたものが低用量ピル・超低用量ピルです。

 

「ホルモン剤」という響きだけで、ステロイド剤や環境ホルモンと混同して怖いイメージを抱く人も多いですがピル含まれる女性ホルモンとは、元々生理や妊娠のときに体内で卵巣から分泌されている黄体ホルモンと卵胞ホルモンを、ワイルドヤム(メキシカンヤムイモ)を原料としてつくられたものです。

 

セルフメディケーションとしてのピル

世界保健機関(WHO)によるセルフメディケーションの定義

「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」

 

今、肌トラブルがなくても、炎症を起こしたり荒れたりしないよう紫外線や乾燥から肌を守るとか、将来も美しくいられるよう若いうちから肌のお手入れを習慣づけておくのと同様に、生理痛など月経トラブルがなくても、病気にならないケア、或は妊娠すべきでない時は体を守り、赤ちゃんが欲しいときに妊娠できる準備をするなど、自身で卵巣や子宮のコンディションを整えておくための正しい知識を身につけましょう。

 

セルフメディケーションは「医療を無視した自己流」という意味ではなく、医療と上手に連携しながら自身で健康管理を意識していくことを推奨します。女性のセルフメディケーションに月経教育は必須ですし、ピルを適切に活用していくことが最も有効であると考えます。

月経があり妊娠希望でなければ服用OK

ピルの服用年令について、WHOの医学的適用基準では「初経発来前と50歳以上または閉経後」は禁忌、「40歳以上」を慎重投与としていますが、医師や医療機関の方針により、基準には差があるのが現状です。その一例を挙げます。

月経があればいつ使ってもいい

15歳までは服用を見合わせたほうがいい

間隔が35日以上の定期的な月経周期が3回以上あってから使用すべき

初経から2年ほど経ってからがよい

40歳以上/45歳以上は服用すべきではない

閉経まで服用可能。ホルモン値を測って閉経が確認されたら終了する

 

「避妊薬」であることから性交渉がある前提で捉えられ10代の女性に勧めにくかったり、未婚女性が産婦人科受診に抵抗があるという意見もあります。しかし産婦人科医は女性にとって一生付き合えるパートナードクターです。偏見や他人の意見に流されず、自身の健康管理のためにきちんと受診し、パートナードクターを持ちましょう。