生理はなぜあるのか

 月経は、すべての動物にあるわけではありません。妊娠しなかった場合の内膜がヒトのように出血として排出されるもののほか、内膜は体内で吸収されて出血が見られないケースもあります。また、交尾行動が刺激となって排卵するパターンは内膜の更新がありません。

 月経周期があり、排卵のタイミングで妊娠しなかった場合に定期的な出血がみられるのは霊長類の一部だけで、同じサルでもジャングルで生活するような、体が小さい方が有利で尻尾が長い「新世界ザル」に月経は必要なかった一方、木から降りて二足歩行し頭が使われるようになった「旧世界ザル」には月経周期があります。

 このように環境変化に伴う進化として、動物の一部に月経周期を持つものが存在するにすぎず、月経つまり定期的な性器からの出血そのものは、繁殖や生物学的に重要なわけではないのです。