婦人科を受診するにあたり、最低限知っておくとよいことをまとめました。
病院と診療所
病院とは、入院医療が主目的でそのベッド数が20床以上の医療機関をいい、入院設備がない・または19床以下の医療機関を診療所といいます。
診療所は、~クリニック、~医院、~婦人科、~産院などの施設名がつくこともあります。
・・・とは言っても、一般の人が日常会話で「診療所に行く」と言い直したりする必要もなく、認識さえしていれば口語的に「病院に行く」と言って構わないと思います。
婦人科・産科・産婦人科・女性専用外来
婦人科は、月経トラブルや子宮内膜症などの治療を行う診療科目で、生理の相談や子宮まわりの痛みや検査などを診てもらえます。月経トラブルなのか風邪による体調不良か判断つかない場合も、いったんは婦人科のパートナードクターに相談してもよいです。診療科目が間違っていたら適切な科に、もっと詳しい検査が必要なら設備の整った施設に紹介してもらったり、臨機応変に対応してもらえます。婦人科専門の病気でなくても、風邪や肌荒れなどトータルで見てもらえるのがパートナードクターです。
産科は、妊婦健診や出産・産後の回復までのお産関連の医療行為を行う診療科目です。セミオープンシステムといって、出産設備の整った病院・産院と提携して、自宅や職場に近いクリニックなどで妊婦健診だけ通うこともできるため、入院設備のない産科クリニックもあります。
その両方を診察しているのが産婦人科です。どちらも診てもらえるのでラクである反面、妊婦さんと同じ待合室にいるのがつらい女性もいるので難しいところではあります。
参考まで、同じがん検診でも「乳がん」は乳腺外科なので、婦人科では詳しく検査できない施設もあります。
女性専用外来とは、女性は細胞の機能から臓器の反応性、脳の構造から社会行動学的バターンに至るまで男性とは異なる生きものとして体の構造はもちろん、社会的性差にまで配慮した医療を行います。婦人科の内容に加え、メンタルケアや経済の専門家、DV被害者のためのシェルターに至るまでジェンダーの視点で支援が行われます。
パートナードクターとなる婦人科とは継続的におつきあいすることになります。何か違和感があればすぐ受診できる・手持ちのピルが残り少なくなったらすぐに取りに行けるような環境がまず優先されるのがよいでしょう。
・自宅の近く
・よく買い物や遊びに行くエリア
・学校や勤務先に行くついでに寄れる所
行きやすい地域でネットや看板で探し、まずは電話をしてみましょう。
【電話できくこと】
扱ってるピルの種類>>希望の者がない場合、処方箋を出してもらえるか
ピル1シートの値段>>自費ピルを希望する場合
初診時にかかる費用の目安>>自費初診料など
追加して受けたい検査があればその金額
予約制かどうか>>必要ならそのまま予約を!
ピルについてスムーズに答えられなかったりしたら、ピルを扱っていても頻度が低い=ピルにあまり熱心でないと推測できます。
雰囲気もわかりますし、オススメですよ。
引っ越しなどで病院が変わる時、前に飲んでいたピルを飲みたいのに扱っていなかった場合
院外処方で希望のピルを出してもらえるか、聞いてみましょう。
処方せんを書いてもらって薬局で受け取れたり、継続して飲むなら取り寄せてくれるかもしれません。
検索で、医療機関はいくらでも簡単に探せますし、クチコミサイトで評判もわかります。
ですが、投稿した人にとって「よかったクリニック」「いい先生」が、必ずしもあなたにとっても同じように良いとは限りません。
たとえばこんな風に、受診者の希望や性格で相性もあります。
【説明が丁寧なドクター】
好:自分の状況などよく理解できてよかった!
嫌:あまり細かい説明をされてもかえって不安になる。
【ハッキリ物言うドクター】
好:サバサバして解りやすい!こういう先生は好き!
嫌:言葉がキツくてイヤ。もう少しやんわり話せないかしら?
【設備が整った総合病院】
好:検査はそこで受けられるし何かあったとき安心。
嫌:人も多くて待時間が長い!普段は話と処方だけでいいのに…。
【アットホームなクリニック】
好:気軽に短時間で受診できてラク!
嫌:しっかりした検診はできないので何かあるとき不安。
初めて医療機関を受診するとき、かならず最初に「問診票」を書きます。医師の方針によって質問量は違いますが、問診票を書くのに手間取る人がいます。
婦人科受診で聞かれることを挙げますので、行く前に調べたり確認してメモしておくといいですよ。
【問診票の出題と傾向】
最終月経>最後に来た生理の初日が何月何日か・何日間出血していたか
初潮年齢>初めて生理がきた年齢
性体験>有無、あれば年齢を聞かれることも
妊娠歴>妊娠回数、出産・中絶・流早産の回数
家族の既往歴>高血圧や心臓の病気、乳がんの人が家族にいるかどうか
※付き添いがいる場合、隣で書きにくい場合があります。問診票は最初から少し離れて書くことをお勧めします。
ピルを処方してもらいたいとき
生理周期に関係なく、どのタイミングでもかまいません。
子宮頸がんの検査
子宮頸部(膣の奥)をブラシや綿棒でこすって細胞を採るため、生理中は避けましょう。出血がなければよいので、生理の前か後かはどちらでもよいです。
女性ホルモン値を知りたいとき
月経初日が基準値になるので、生理が始まったら出来るだけ早く受診するのが望ましいです。但、どうしても難しい場合は、採血した日の月経周期で推測することも可能です。なお、ピル服用中は検査できませんのであらかじめ飲みやめておく必要が生じます。
急性の症状があるとき
痛み、かゆみ、においが気になるなど、症状がある場合はすぐに受診しましょう。仕事が抜けられないからといってネットを調べたりSNSで相談しても不安をあおるだけで解決しません。
慢性的な症状が気になるとき
生理不順、すぐに治まる痛みなど、ちょっと気になるけど日常生活で支障がないためつい見過しがちなこともありますが、症状が治まっても放置せず、早期に時間を作って受診しましょう。
その他
何の目的で受診したいか告げたうえで、医療機関に電話で確認するとよいでしょう。
受診の流れで何かの数値を確認する必要が生じたり、受診の機会に検診も勧められたりすることがありますが、学校や会社の健康診断を受けていればその結果をみて判断がつくことがあります。献血の成績表ハガキや、別の病院で受けた検査結果なども流用できます。
手元にないと「がん検診を受けたけど、何ガンの検査かは覚えていない」「血液検査したけど今確認したい項目があったかわからない」というようなことも。
持参したものでは項目が足りなかったり、時期的に改めて検査したほうが良い場合もありますが、何か持っているものがあれば、受診時に持参することをお勧めします。
不要な場合
月経移動や自費ピルの場合は、保険診療にはなりませんので、保険証がなくても受診してお薬をもらうことはできます。
参考まで、他に自費の検査(ホルモン値を知りたい、卵子の数を知りたい、排卵しそうかどうか卵巣をエコーでみてほしい、症状はないが血栓ができやすいかどうか検査したい、など病気が理由でないもの)、妊娠判定、セックスカウンセリング、妊婦健診、といったものも、保険証不要ですべて自費診療となります。
必要な場合
不調や痛みなど症状があって受診する場合は、保険診療になるので保険証は必須です。忘れてしまった場合でも保険適用で診察してもらえますが、いったん10割負担で支払います。後日、保険組合などに請求手続きをすれば払い戻してもらえます。同月内であれば窓口で対応してくれる医療機関も多いですが、医療機関の会計窓口での返金は義務ではないので、窓口であらかじめ確認しておきましょう。
自費診療のつもりで行ったら保険診療に変更になることもあります。念のため持参しておいてもよいかもしれません。保険診療で受診したい場合は必ず持参し、受付時に提示しましょう。
保険証を使いたくない場合
あなたが親や配偶者などの扶養にあり、保険証に「家族」とある場合、受診した医療機関名が保険証の「本人」に当たる人はそれを確認することができます。診察内容や病名は守秘義務により公表されることはありませんが「家族の誰が何月に○○婦人科医院を受診し***円支払った」という履歴が残ります。
まだまだ産婦人科は妊娠した人が行くところであるイメージが強いため、あらぬ誤解を受けたり、本来保険で可能なところをあえて自費で行く人もいるかもしれません。生理の話をするのに抵抗があったり受け容れて貰えない事情も多々ありますが、ライフェスデザイン研究所で正しく理解し、その輪を広げて快適に受診・安心して治療に臨める環境を、ぜひつくってください。